ブログ… 「コーチはリーダーである。リーダーはコーチである」
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今日を生きるコーチングの言葉 10

「食べるときと歩くときは動物になる」
            
          …元ラグビー全日本監督 平尾誠二氏の言葉

人には「思考」というやっかいな能力がある。

人が作ってきた文明…政治や社会のシステム、建築、芸術、科学、思想、娯楽そしてメディアなどはすべて人の思考から生まれたものだ。もし思考という能力がなければ、人は身もフタもない弱肉強食の世界の中で、生まれ、食べ、死ぬだけの生き物だっただろう。

思考は人を多くの苦しみから守っている。

もし思考がなければ医学は発展していない。もし医学がなければ僕たちは足を骨折しただけでもう生命の危険にさらされることになる。思考がなければ服も暖房もそして薬もない。冬に風邪を引けばそれだけで生死の境界線だ。

要するに思考が文明を生み出し文明が人に生存の力をもたらした。思考が技術を生み、技術が文明を生んで地球を人間の王国に作り替えたのだ。

ところが現代は、その思考が人の生存を障害する時代でもある。

思考によって生まれた文明は自己増殖し、動物としての人間の情報処理能力をはるかに超えてしまった。自己増殖した思考は、過剰な欲求と不満を排泄し、その混乱が社会の病理を生み出している。

平尾さんは、ラグビーをひとつのシステムとしてとらえ、そのシステムをどのように稼働するかという視点で、全日本を変革しようとした人間だ。極めて理知的でロジカルに行動を決定する人間だ。その知性は、思考に依存することの危険性に言及するまでの幅を持っている。

彼は、思考に依存しすぎると人間の感覚や感情そして本能という行動のエンジン部分が弱体化することを知っている。だからラグビーのプレイ中でも、フィールド全体を見おろす「アウト」の視点とボールに集中する「イン」の視点が必要と語る。

「イン」の視点とは、今ここの自分の感覚、感情、情動で、動物としての生命力を活動させる視点だ。

だからかれは、「食べるとき歩くときとは動物になる」のだ。あえて思考を放り出し、動物にもどり動物脳が発する生命の力のままに生きる…そんな無意識の時間を意識的に作っているのだ。

これはそのままコーチングにあてはまる。

事前にどんなアセスメントをしてもいいし、流れを言語化するのもいい。しかしいざ対話がはじまれば「動物になる」…

思考や技術で流れをつくるだけのコーチングでは、コーチに、「動物的な」気づきは生まれない。そしてコーチに「動物的な」気づきが生まれなければクライアントにも、「生きた」気づきは生まれない。

コーチング中に「イン」しても「アウト」しても構わない。思考を使い、主観と客観を行き来して組み立てていくのが、コーチングの枠組みの範囲だからだ。と同時に「コーチングの時には動物になる」ことがまた「健全」であるために必要であることも知っておいて間違いがない。

…研修委員:黒木雅裕
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by y-coach_net | 2009-08-15 11:23 | 黒木さんのコーチング
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