安心と変化のコミュニケーション…「こころの癖」
2008年 08月 30日
コーチングや職場のコミュニケーションで必ず直面するのが、クライアントやスタッフの「こころの癖」です。
例えば今私の職場では「安心の声かけタスク」という課題にとりかかっていて、職場での基本的なコミュニケーションをスタッフやご利用者にとって安心感のあるものに進歩させていくことが目標となっています。
「誰から誰へを明確にする」「言葉をキャッチボールする」「声と体と表情とジェスチャーで伝える」などいくつかのガイドラインをもとに挨拶や質問、報告や相談などの具体的なやりとりを相互にチェックする取り組みです。
例えば「視線を合わせる」という項目があるのですが、これ1つをとっても取り組むスタッフの反応はさまざまです。苦もなく充分な時間視線を合わせることができるようになる人もいれば、月単位でやっと小さな変化が生まれた人もいます。
これは善し悪しではなく、その人が持っている「こころの癖」による行動のパターンが固定されたものです。
視線を合わせることが苦手な人の心理的な反応はおよそ二つに分かれます。
ひとつは基本的にあまり他人の感情の影響を受けない人で、良く言えば目的意識の強い人間、悪く言えば共感の力の弱い人間です。
この型の心理反応は他人の視線から「相手の心理を推察する」必要が少ないので相手に視線を合わせる優先順位が低くなります。
高度経済成長時代の成功者にはこのタイプが多かったと感じます。立志伝中の人物も多いかわりに、その困った逸話にも事欠かないのがこの時代の成功者の特徴です。
しかし現在の社会状況では、そのタイプの視線を合わさない心理反応は減少しています。
常に社会や共同体の視線を意識して、鋭利な緊張感を持って他人との距離を取らなければならないのが、半ば強制的に基調低音として流れている現在の社会の暗黙のメッセージです。
ですから現在の社会では、それを反映して相手の視線への不安や恐怖からその行動パターンを選択する傾向があります。「人は人、自分は自分」を許さない社会圧力の時代とも言えるかもしれません。
ですから現在の心理的な反応は、この社会的圧力に過剰適応して、相手への感情的圧力を回避する、要するに「他人の視線が怖くて目を合わせられない」人の割合が高くなっています。
ですから、現在では「視線を合わせる」という行動の変化1つをとっても、個人の「こころの癖」と社会的な「こころの癖」の双方にアプローチする必要があるのです。
「安心の声かけタスク」で言えば、私たちの職場では、視線を合わせるのがコミュニケーションの標準であり、安心して視線を合わせていいのだという「社会的なコンセンサス」を作ることがまず第一に必要です。
その上で、スタッフの属性に合わせた個別のフィードバックを行って、「視線を合わせる」質と量の平均値を上げていくことになります。
実際、仕事への責任感と意志の強さを充分に持っているけれども、どうしても視線を合わせるのが苦手でミーティングなどで参加者に不安を感じさせる割合の高かったスタッフのMさんも、職場での「視線を合わせるコンセンサス」を理解し、他のスタッフからのフィードバックが積み重なることによって、充分に「視線を合わせる」体力を獲得することができました。
「こころの癖」は、個人の資質と成育過程、そして共同体の社会的圧力という要素によって形成されます。
1.セッションや職場のコミュニケーションの目標をコンセンサスすること
2.正確な技術にのっとったフィードバックを行うこと
「こころの癖」は、不安感によって反射的にその歪みを強める性質があります。社会的不安を乗り越え、クライアントやスタッフの「こころの癖」に変化を生み出すためには、この二つのポイントを常に意識することが必要です。
研修委員:黒木雅裕
例えば今私の職場では「安心の声かけタスク」という課題にとりかかっていて、職場での基本的なコミュニケーションをスタッフやご利用者にとって安心感のあるものに進歩させていくことが目標となっています。
「誰から誰へを明確にする」「言葉をキャッチボールする」「声と体と表情とジェスチャーで伝える」などいくつかのガイドラインをもとに挨拶や質問、報告や相談などの具体的なやりとりを相互にチェックする取り組みです。
例えば「視線を合わせる」という項目があるのですが、これ1つをとっても取り組むスタッフの反応はさまざまです。苦もなく充分な時間視線を合わせることができるようになる人もいれば、月単位でやっと小さな変化が生まれた人もいます。
これは善し悪しではなく、その人が持っている「こころの癖」による行動のパターンが固定されたものです。
視線を合わせることが苦手な人の心理的な反応はおよそ二つに分かれます。
ひとつは基本的にあまり他人の感情の影響を受けない人で、良く言えば目的意識の強い人間、悪く言えば共感の力の弱い人間です。
この型の心理反応は他人の視線から「相手の心理を推察する」必要が少ないので相手に視線を合わせる優先順位が低くなります。
高度経済成長時代の成功者にはこのタイプが多かったと感じます。立志伝中の人物も多いかわりに、その困った逸話にも事欠かないのがこの時代の成功者の特徴です。
しかし現在の社会状況では、そのタイプの視線を合わさない心理反応は減少しています。
常に社会や共同体の視線を意識して、鋭利な緊張感を持って他人との距離を取らなければならないのが、半ば強制的に基調低音として流れている現在の社会の暗黙のメッセージです。
ですから現在の社会では、それを反映して相手の視線への不安や恐怖からその行動パターンを選択する傾向があります。「人は人、自分は自分」を許さない社会圧力の時代とも言えるかもしれません。
ですから現在の心理的な反応は、この社会的圧力に過剰適応して、相手への感情的圧力を回避する、要するに「他人の視線が怖くて目を合わせられない」人の割合が高くなっています。
ですから、現在では「視線を合わせる」という行動の変化1つをとっても、個人の「こころの癖」と社会的な「こころの癖」の双方にアプローチする必要があるのです。
「安心の声かけタスク」で言えば、私たちの職場では、視線を合わせるのがコミュニケーションの標準であり、安心して視線を合わせていいのだという「社会的なコンセンサス」を作ることがまず第一に必要です。
その上で、スタッフの属性に合わせた個別のフィードバックを行って、「視線を合わせる」質と量の平均値を上げていくことになります。
実際、仕事への責任感と意志の強さを充分に持っているけれども、どうしても視線を合わせるのが苦手でミーティングなどで参加者に不安を感じさせる割合の高かったスタッフのMさんも、職場での「視線を合わせるコンセンサス」を理解し、他のスタッフからのフィードバックが積み重なることによって、充分に「視線を合わせる」体力を獲得することができました。
「こころの癖」は、個人の資質と成育過程、そして共同体の社会的圧力という要素によって形成されます。
1.セッションや職場のコミュニケーションの目標をコンセンサスすること
2.正確な技術にのっとったフィードバックを行うこと
「こころの癖」は、不安感によって反射的にその歪みを強める性質があります。社会的不安を乗り越え、クライアントやスタッフの「こころの癖」に変化を生み出すためには、この二つのポイントを常に意識することが必要です。
研修委員:黒木雅裕
by y-coach_net
| 2008-08-30 22:30
| 黒木さんのコーチング