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安心と変化のコミュニケーション…「馴れ合いの秘密 3」

またこの例とは別に、もうひとつ第2次世界大戦時に連合国側、特にアメリカ軍が採った、捕虜への対応にも「馴れ合い」への対処方法のヒントが隠されています。

第2次大戦の戦勝国となったアメリカ軍には大量の捕虜が生まれ、その管理に大変な労力がかかったといいます。

特に、頻発する捕虜の反乱には、時によっては管理する軍隊よりも捕虜の人数の方が多いこともあるわけですから、手を焼いたようです。

そこでアメリカ軍は、集団における人間関係の力学を分析して、ある法則をみつけだします。

反乱は捕虜の中でもリーダーシップを持った人間が主導します。アメリカ軍は捕虜の総数、反乱の頻度を分析して、リーダーシップを持った人間の割合をはじき出しました。

30人に1人。捕虜が30人以上の集団を形成するとき、そこに高い確率で1名のリーダーが登場することを判明させたのです。

この30人に1人という数は私にとっても実感です。自分の職場のスタッフの総数から見ても、名目上ではなく本質的にリーダーシップを持っているスタッフはちょうどこの割合になります。

アメリカ軍は、捕虜の性格分析を行い、この30人に1人の割合で存在するリーダーを集団から隔離し、彼らだけは単独で管理するように体制を変えたのです。その結果捕虜の反乱は劇的に減少しました。

アメリカ軍は、捕虜の性格分析を行い、この30人に1人存在する、「+α」を持った人材を集団から排除することによって、捕虜の管理という軍事作戦を安全に継続するための重要な対策を行ったわけです。

上記した二つの例とも、大半の企業の現実からは離れた極端な状況ですが、双方ともに「馴れ合い」対策のヒントが含まれています。

リーダーシップも人材も限られている大半の企業で、日産やアメリカ軍での対策を生かすとすればこの二つの対策の混合型のマネジメントということになるでしょう。

①理念やビジョンの共有を徹底し、目標を明確にするコーチングを行い、「馴れ合い型リーダー」から「チームワーク型リーダー」への思考様式の変換をトレーニングする。

②「馴れ合い」傾向の改善が見られないないときは、当該スタッフをリーダーの役職もしくは立場から分離する。

病気の治療に例えれば、①は内科的療法で主に薬を使ってねばり強く治療していくと言えますし、また②は外科治療で速度が生命線になる対応です。

どちらをとってもマネジメントとして容易なことではありません。マネージャ自らがビジョンを信じ、伝え続け、要するに説明の力と人間的な信頼性をもって影響力を及ぼし、それでも変化をする意志を持ち得ない存在に関しては断じて分離を断行する…

コミュニケーションは常に「馴れ合い」へと変化する遺伝子をその本質に内包しています。また「馴れ合い」の放置は、間違いなく組織の弱体化と業務上の問題の肥大化をもたらします。

職場を健全かつ強力な生産の場所とする役割を持つマネージャにとって、どのように労力がかかるとしても「馴れ合いには即対応」…が必須科目といえるでしょう。

研修委員:黒木雅裕
by y-coach_net | 2008-10-18 00:13 | 黒木さんのコーチング

ブログ… 「コーチはリーダーである。リーダーはコーチである」


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