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挨拶論(20)

人間は不完全で不安定な存在だから、「等距離の利害と好意にもとずいた挨拶」を「全員」に行うというのは、実は至難の技だ。バーバルで等距離の挨拶に成功しても、多かれ少なかれ相手への好き嫌いはノンバーバルで露わになる。それが積み重なってマイナスの意味での小さな集団に分裂していく。

それが人間の自然だからこそ、「等距離の利害と好意にもとずいた挨拶」を行うにはある種の「強制力」が必要になる。武道や格闘技の道場やジムあるいは体育会系のクラブなどで、挨拶という「礼」を最初に教育する所が多いのは象徴的だ。

武道や格闘技というのは、もともと他者に勝ちたいいという動物の原始的な本能から生まれた文化だ。人間の場合その本能にさらに思考が加わって、自分が属する集団を支配したいという複雑な自意識を生むことになる。

もしその自意識をそのまま放置して、武道や格闘技の技術だけを習得させたとしたら…おそらくはすぐさま集団として収拾がつかなくなるだろう。

まずは、最初に自分の自意識を抑制することを覚えさせる。それが武道や格闘技における「挨拶の習得」の目的で、そして、その抑制力を使って自らの競争心を集団のエネルギーとして生かしていく…

数は多くないが、そういう集団が持つエネルギーは一目見るだけでも明るさを感じさせるものだ。

格闘技やスポーツジムやスポーツクラブの優劣は、そこのリーダーが「等距離の利害と好意に基づいた挨拶」を自ら行っているか、そしてメンバーにそれを良い意味で「強制」できているかどうかを見るだけでも簡単に判断できる。

…研修委員:黒木雅裕
by y-coach_net | 2009-04-14 11:02 | 黒木さんのコーチング

ブログ… 「コーチはリーダーである。リーダーはコーチである」


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