挨拶論(28)

◆挨拶の新時代的役割

では、国家的な視点から見れば、商品として売買される「丁寧な挨拶」以外にはその意義が見いだされなくなった挨拶を私たちはいかにあつかうべきか。

コミュニケーションの基本は他人と協力関係を結ぶことだ。協力関係の意味を複雑にするのが人間のいわゆる「自意識」で、人は他人と協力してその集団の利益を最大化したいと思うが、同時にその集団の中で出来る限り優位に立ちたいという欲求から離れられない。

協力しながら競争し、競争しながら協力する…言い換えれば仲間の成功を追求しつつも、同時に仲間の失敗を願う。相反する欲求に基づいた不安定な協力関係を調和する、簡潔かつ効果的な道具こそ、現在の社会における挨拶のあらたな役割だ。

さまざまな権威が失墜した現在、「簡潔で明確な挨拶」は「相手の存在を承認する」という威力をもって、上下関係、主従関係を超えたお互いの(取り扱いに細心の注意が必要な)「自意識」に接点をつくるコミュニケーションを可能にする。

…研修委員:黒木雅裕
[PR]
by y-coach_net | 2009-05-28 15:59 | 黒木さんのコーチング